路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
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鬼瓦(魔除招福4 水関係1)

水に関する鬼瓦


鴟尾

平城宮第一次大極殿の鴟尾

平城宮第一次大極殿

平城宮第一次大極殿、大棟の左右に掲げられている鴟尾(しび)。平城宮跡で鴟尾は出土していないので、同時代の鴟尾を参考にデザイン、鋳造で鍍金を施し復元されました。2枚目は2010年再建された平城宮第一次大極殿。拡大版。(1200×800px、145KB)。

鴟尾は飛鳥時代や奈良時代の大寺院などの大棟に使われていた飾り瓦で、鬼瓦ができるまでのもののようです。防火のおまじないではないかと言われていますが、確かなことはわからないそうです。

下は大棟中央の棟飾り。こちらも出土していないので、Wikipediaの大極殿によると、中国古代建築の類例にならい設置されたとのこと。夢殿の路盤ふう。

平城宮第一次大極殿

撮影:2011年4月 奈良県奈良市

和久公民館の鴟尾 和久公民館の鴟尾

網干区の和久公民館。建物自体は極めて普通の地域の公民館ですが、なぜか鴟尾が上がっています。アルミサッシとはあまり合わない気もしますが。

2002年12月 兵庫県姫路市

鯱(しゃち)

姫路城の昭和の鯱瓦

姫路城の平成の大修理の際、工事の見学コーナーが設けられましたが、そこに置かれていた昭和の鯱瓦。昭和30年代の大修理時に作成され、半世紀以上大天守の大棟に上がっていたものです。約186cm、総重量は約278kg。

鯱は姿が魚で顔は虎、背中に鋭いトゲを持つ想像上の動物。防火の守り神として、神社仏閣や城の棟飾りに使われました。火事の際大きな口から水を噴射して火を消すとも。棟の中央を向いているのはそういう理由からでしょうか。鴟尾の形が変化したという説もありますが。

2013年2月 兵庫県姫路市


姫路城大天守

大修理ほぼ終了、素屋根も撤去されました。手前の建物と比べてもだいぶ白いですね。鯱は大棟両端と千鳥破風(三角形に見える部分)の頂点の上にいます。

2014年11月 兵庫県姫路市


鯱は普通はかなり高い位置にいますが、姫路では大手前通りや城内図書館など、身近に鯱が観察できる場所がいくつかあります。下は城見台公園のもの。

城見台公園の鯱のモニュメント

2019年11月 兵庫県姫路市

神社仏閣の鯱は多いので省略し、民家のものをいくつか。地域で流行があるのか、鯱を上げている民家が固まっていることもありますね。

民家の鯱瓦

屋根のあらゆる部分が緑色に塗られた民家。鯱も緑色。

撮影:2002年9月 兵庫県佐用町

民家の鯱瓦

こちらも民家のミニ鯱。鯱は体は魚ですが、これはあまりにも魚そのまんまですね。背中のトゲはなく普通の背びれだし。顔は虎というより人間ぽい。家のご主人に似せたと言われたら納得するかも。

見たところ土台の瓦も古そうでした。もしかしたらもう交換されているのかもしれません。かなり気に入っていたのですが。

撮影:2003年3月 兵庫県佐用町

民家の鯱瓦

民家の新しそうなミニ鯱。上のと同じく塀の端にあったもの。ぎょろ目と眉毛?が愛嬌があります。

2021年4月 兵庫県姫路市

龍の鬼瓦

市内の民家にあったもの。ご先祖が武家であったのか、立派な飛龍の鬼瓦が掲げられていました。

撮影:2002年11月 兵庫県姫路市

龍頭瓦

国宝に指定されている加東市の朝光寺本堂。大棟の端には鬼面鬼瓦と龍頭瓦が見えます。朝光寺にはめずらしく大棟に龍がいると紹介されているようですが、一度アップロードしてから考えてみたところ、これは龍の一種の「蜃(しん)」ではないかと。蜃は、大きなハマグリと龍の一種の2種類あり、いずれも気を吐いて楼閣を現す(蜃気楼)という伝説があります。

撮影:2010年4月 兵庫県加東市

龍の方の有名所では、日光東照宮奥社にある唐門の蜃ですが、「蜃」に関する考察によると、

各地の寺院にある銅製灯篭の蕨手(笠の端の巻き上がった装飾)にもしばしば蜃が付いている。これらの蜃は皆、口から上方へ巻き上がる気を吐く形が表現されていることで、普通の龍とは区別できる。

とあります。灯籠の蜃は、兵庫県加西市の酒見寺にもあります(下画像参照、撮影:2010年1月)。

酒見寺灯籠の蜃

下は香川県丸亀市の金毘羅講燈籠、通称太助灯籠です。アップで撮っていないので不鮮明ですが、気を2本吐いているのが見えます。撮影:2005年3月。

太助灯籠 太助灯籠の蜃

龍頭瓦

龍頭瓦

鞆の浦の阿弥陀寺山門。降棟の鬼瓦は龍頭瓦です。こちらは普通の龍で、屋根の左右で阿吽になっていますね。屋根の端の留蓋は波に宝珠ですが、よく見れば龍の両目の間にもミニ宝珠が付いています。龍はあごの下に宝珠を持っているとのことですが、この体勢では見えないので移動させてきましたか。

撮影:2013年5月 広島県福山市

龍の鬼瓦

龍の瓦はなかなか民家にはないので、もうひとつ神社仏閣のものを。これは網干区の魚吹神社唐破風にある龍の瓦。鬼瓦は獅子口で、その足元として、波に乗る阿吽の龍が上げられています。神社仏閣は水神信仰や雨乞い信仰もあり、龍のモチーフがよく見られます。

獅子口には如意宝珠が見えますが、もとは仏教関係のものでしたが、Wikipediaに「平安時代には神道にもとりこまれ」とあるように、のちには神社にも見られるようになりました。この後ろにある千鳥破風の鬼瓦はこちら

撮影:2007年11月 兵庫県姫路市

龍の鬼瓦

こちら高砂市十輪寺の大鬼。ポーズがめずらしそうなので掲載します。逆鱗は?

撮影:2022年4月 兵庫県高砂市

2021年5月5日:ページ再編。4枚差し替え。13枚追加。2021年5月9日:一部説明修正。2022年5月15日:十輪寺の龍差し替え。

(2021年5月9日更新)