上下水道 兵庫県神戸市6 神戸灘・酒蔵の道
酒造用蓋
神戸市 酒造用ドレン / 酒造用仕切弁
撮影:2007年12月 兵庫県神戸市 拡大画像(153KB)
大きい方はドレン(排水)用、小さい方は酒造用水道仕切弁。
『白鶴二百三十年の歩み』によると、酒造専用水道は昭和48年(1973年)4月完成。東灘区の住吉川上流より取水。工費は灘五郷酒造組合が負担し施工は神戸市。完成後は神戸市の水道施設として市が管理しているとか。
かつてはどの酒蔵も伏流水や井戸水を使用していましたが、高度経済成長期になり、阪神地域の沿岸部に増えた工場が地下水を汲み上げ、井戸水の水量や水質に影響が出てきたため、専用水道の計画が持ち上がったとのこと。
神戸市 酒造用 空気弁
撮影:2007年12月 兵庫県神戸市 1枚目拡大画像(126KB)
上は大きく幅600はありそう。下は520くらい。専用水道の空気弁。
上記『白鶴二百三十年の歩み』によると、日本酒の醸造時には酒米1トンにつき雑用水17トンが、瓶詰めの際は製品の3倍の水が必要とのこと。白鶴酒造でも専用水道の水を、塩素を取り除いた後、仕込水その他様々な用途に使っているとか。
酒造用水道仕切弁
撮影:2007年12月 兵庫県神戸市
外蝶番で文字の周囲が広いタイプ。
神戸市 酒造用 止水栓
撮影:2007年12月 兵庫県神戸市
一般家庭用と同じ大きさの酒造用止水栓。文字が少々杜撰。六剣水がゴシック体の*に見えます。
いずれの蓋も酒造用水道完成の昭和48年からありそうです。
マンホールインフォメーション関連のデザインプレート
マンホールインフォメーションは、神戸市建設局下水道河川部が平成9年度(1997年度)より行っている事業。デザインプレートを蓋に取り付け、地域の情報発信や美化に役立てようというもの。
これらは平成13年度(2001年度)に選定された灘百選のデザインプレート。灘区の木「桜」をバックに、多くの酒蔵が建ち並ぶ西郷(にしごう)の風景や酒造りの様子が描かれています。
西郷は神戸市灘区大石・新在家を中心とした地域。日本の酒蔵、灘五郷の一番西にあたり、沢の鶴などの酒造工場が稼働中。
酒蔵の道より西を望む。両画像とも右は富久娘酒造、左は月桂冠の跡地に建ったホームセンター、真正面には福徳長の蔵の跡地に建つオエノングループの建物が見えます。いずれも酒蔵を意識した、白とブルーグレイのカラーリングがなされています。
関西の土蔵は、しっくい塗り込めの白壁に、下は汚れ防止の縦羽目板(黒い焼板が多い)を巻いたツートンカラーですが、塗料の黒は少し強い感じがあるので、下の方は海を意識したブルーグレイにしてあるのかも。
もちろんいくら色を似せてあっても、再建された建物のほとんどがRC造りで、伝統のまちなみが灘に戻ることはありません。それでも「新在家南地区まちづくり協定」によって、まちなみに配慮した意匠が推奨されたり、風俗店の出店が規制されているので、乱雑な景観にはなってはいません。少し歩いてみましが、やはり他の場所とは違いますね。
いにしえのまちなみが描かれている旧西国浜街道のデザインプレート。
こちらは旧西国浜街道に面する震災復興住宅。
1枚目:正面の土蔵風の建物は自転車置き場。2枚目:酒樽を縦半分に割ったような意匠はベンチ。酒蔵をイメージして造られているのでしょう。
オエノン横の酒蔵の道より震災復興住宅(右奥)を望む。傾斜のついた屋根も酒蔵のイメージとか。
上の方だけ色をグレーにしているのは瓦屋根をイメージしているのでしょう。一番高い建物にも蔵風のペイントが施されています。
まちなみ関連
こちらは東灘区の御影にできたパチンコ店。建物の一部が土蔵風になっています。震災前ここには、向かいで操業している大黒正宗の木造の蔵がありました。
阪神御影駅の看板。
撮影:2007年12月 兵庫県神戸市
参考文献
- 『白鶴二百三十年の歩み』昭和52年10月10日 山片平右衛門・白鶴酒造(株)編集