路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
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86.もやし


亀齢酒造にて

亀齢酒造蔵

東広島市西条。昔ながらの酒蔵が醸し出す、モノトーンの美しい空間が続く町です。その一角、清酒「亀齢」第五号蔵の裏通りに、空き缶を利用したタバコの吸い殻入れがありました。特に木造の蔵は火気に注意しなければ。それにタバコのポイ捨ては美観をそこねますからね。

空き缶利用の吸い殻入れはあちこちで見かけます。小さいものではシーチキン。あるいはシマヤだしの素。大きいものだとエンジンオイル、調味料の一斗缶。そういえばカニ缶との遭遇はまだないな。

モヤシの空き缶

さてこの吸い殻入れ、なんと「モヤシ」。さすがは醸造の町。西条での最大の発見はこの空き缶と言っても過言ではありません(他にたくさんあるだろうとのご意見ごもっともです)。

「もやし」というのは、この場合は、豆から芽の出た野菜のことではなく、種麹(たねこうじ)のことです。お米を炊いて少し冷まし、「もやし」を振りかけ温度を37度くらいに保って1日経つと、ご飯に白い菌糸のついた麹になります。芽を出した菌糸が伸びていく様子が、木の芽が萌え出すのに似ているので「もやし」と呼んだのが名前の由来とも言われています。萌え系のネーミングだったんですね。

2006年9月 広島県東広島市

もやしの看板

もやしの看板

こちらは龍野の井戸糀(こうじ)店。こうじ屋という商売が成り立つのが醤油の町らしいですが、こちらにもありました「もやし」の看板。「京都 糀屋三左衛門老舗」などと書かれてあります。ずいぶん年季が入ってるふうですね。

味噌をいただいたついでにその「もやし」を見せていただいたところ、それは薄い緑色の粉末でした。麹にも種類があり、たとえば醤油でも、濃口とうすくちとでは、醸造法と共に麹そのものも違うと聞いたことがあります。

住んでいる地域のお祭りがやってきました。甘酒麹を買ってきて甘酒を作ってみました。甘酒はうるち米でもできますが、餅米で作ると、仕上げにみりんなどを足す必要もないほど甘いのができます。発酵って不思議ですね。

2001年12月 兵庫県たつの市

(2006年10月21日作成)