路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
お散歩 Photo Album

 
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酒4 大阪府

國乃長
國乃長

酒は 國乃長
撮影:2005年5月

清酒 國乃長 壽酒造醸
撮影:2008年3月 拡大画像(31KB)

大阪府高槻市富田町三丁目26番12号、寿酒造(株)

文政5年(1822年)創業。旧摂津国富田郷、現在の高槻市富田(とんだ)町では15世紀頃より酒造が盛んになり、宝暦年間には30ほどの蔵元が存在したそうです。摂津国で一番の酒ということで「國乃長」。

呉春  万里春

清酒 呉春 摂津池田郷 池田銘醸
撮影:2012年5月

大阪府池田市綾羽一丁目2-2、呉春(株)

池田市も古くから醸造が行われていた町で、かつて呉服(くれは)の里と呼ばれていました。呉春の「呉」はこれに由来します。また「春」は唐の時代の中国では「酒」という意味があったそうです。

特級銘酒 万里春 本石田醸
撮影:2005年2月

大阪府富田林市富田林町21-22にあった万里春酒造(株)の看板のようです。蔵元であった石田家は、町並み保存地区である富田林寺内町にあります。明治初期~昭和50年代後半まで酒造をしていました。

新泉  浪花正宗

高級清酒 新泉 堺酒造株式会社
撮影:2009年8月

昭和30年代の半ば、大阪府堺市堺区甲斐町西一丁33にあった堺酒造(株)の看板でしょう。堺酒造は明治20年(1887年)、アサヒビールの創業者である鳥井駒吉らによって設立、翌年には株式会社になります。

昭和43年(1968年)ごろの資料では新泉酒造(株)になっていますが、このころ灘の酒蔵「百万両」と合併、百万両新泉(株)となっています。昭和40年代後半には、神戸市東灘区御影本町の蔵に一本化されたようですね。百万両新泉は平成3年(1991年)7月、メルシャン(株)に合併されました。平成7年(1995年)1月の阪神・淡路大震災以降、ブランドがどうなったかは不明です。

清酒 浪花正宗 浪花酒造有限会社
撮影:2008年1月

大阪府阪南市尾崎町三丁目13-6、浪花酒造(有)
寛政年間(1789年~1801年)創業。

大御所

大御所 泉南酒造醸
撮影:2008年1月

京都府京都市伏見区東組町703にあった古林(ふるばやし)酒造(有)の、泉南酒造時代の看板でしょう。
古林酒造は明治8年(1875年)1月、大阪市福島区で酒の小売業として創業。昭和6年(1931年)、大阪府泉南郡西鳥取村、現在の大阪府阪南市鳥取1186にて酒造業も開始。昭和13年(1938年)酒類の生産統制で泉酒造(有)に合併されますが、昭和23年(1948年)泉南酒造(有)として独立。

昭和28年(1953年)古林酒造(有)に社名変更。翌昭和29年京都市伏見区に伏見工場を開設。泉南工場は昭和45年(1970年)に廃止され、以後醸造は伏見で行われましたが、近年廃業。跡地は町屋のデザインを取り入れたマンションになりました。

創業の地の大阪市福島区福島一丁目2-3には大阪支店が置かれていましたが、こちらも現在はマンションに。泉南工場跡地も宅地になっています。
「大御所」は明治43年(1910年)登録とのこと。名前の由来は、『日本の名酒事典』には「蔵元の古林家はもともと医者の家系で代々徳川家に御殿医として仕えていた。酒銘はそうしたことに由来すると思われる」とありました。

翁千歳

清酒 翁千歳 極製
撮影:2004年11月

大阪府羽曳野市軽里三丁目6-5にあったオキナ酒造(株)の看板。天保6年(1835年)創業でしたが、平成15年(2003年)9月末で蔵を閉めたようです。

白牡丹

銘酒 白牡丹 販売店
撮影:2003年4月

白牡丹といえば広島・西条の白牡丹酒造ですが、こちらは大阪にあった摂津酒造(株)の看板と思われます。合成清酒の「白牡丹」は、もとは兵庫県神戸市東灘区青木の第一酒造(有)のブランドでした。昭和25年(1950年)5月、同社を大阪市住吉区住吉町1063(当時の住所)の摂津酒造(株)が合併。以後摂津酒造により醸造されました。

摂津酒造は明治39年(1906年)創業、大正9年(1920年)5月会社設立。戦前は洋酒や「金扇」ブランドの味淋・焼酎などを醸造していました。昭和31年(1956年)ごろを中心に「銘酒 白牡丹 お父さんの牛乳」というような新聞広告が多く見られます。この「お父さんの牛乳」的なコピーは、他の合成清酒にもありました。特級酒を牛乳並みに飲んだ場合、あきれたお母さんがいなくなる恐れもあります。リーズナブルな合成清酒ならではのコピーといえるでしょう。

昭和39年(1964年)10月、宝酒造に合併され宝酒造大阪工場になりますが、昭和48年(1973年)3月廃止。跡地は市営住宅になっています。
摂津酒造には大正時代、ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝氏が在籍していました。竹鶴氏にウイスキー製造技術を学ばせるためイギリス留学をさせたのは、当時の摂津酒造の社長でした。

元朝

優等清酒 元朝(がんちょう) 
撮影:2011年3月 拡大画像(58KB)

大阪府岸和田市並松町22-30、寺田酒造(有)
文化4年(1807年)~5年(1808年)創業。昭和27年(1952年)設立。

菊養老

清酒 菊養老 大門醸
撮影:2009年1月

大阪府交野市森南三丁目12番1号、大門酒造(株)
文政9年(1826年)創業。

参考看板

金露 金露

宿屋町東二丁 清酒 金露
撮影:2004年5月

兵庫県神戸市東灘区魚崎南町五丁目5-47にあった金露酒造(株)提供の町名標示板。

金露酒造(株)は文化3年(1806年)堺市で創業。明治40年灘魚崎郷に進出。大正4年(1915年)大塚合名会社に改組。戦時中魚崎酒造と合併していましたが昭和22年(1947年)独立。昭和30年(1955年)金露酒造(株)に改称(『日本の名酒事典』等参考)。

堺の蔵は堺市堺区熊野町西二丁にありましたが、第二次大戦で被災したため、戦後は灘で醸造しました。同所には金露酒造大阪支店がおかれていました。

「金露」とは、黄金色に実った稲穂から造られる酒の意味。明治時代より輸出され海外でも好評を博しましたが、平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災で被災し、平成10年(1998年)4月倒産。ブランドはキング醸造に譲渡されました。

参考文献

  • 『会社年鑑≪上場会社版≫ 2004年版』2003年10月24日 日本経済新聞社
  • 『全国酒類醸造家名鑑 1969』昭和44年4月15日 醸界タイムス社出版部
  • 『伏見酒造組合一二五年史』平成13年10月31日 伏見酒造組合
  • 『堺商工名鑑1959』昭和34年11月1日 堺商工会議所
  • 『日本の名酒事典』1990年4月26日 講談社
  • 『灘の酒』中尾進彦著 昭和54年7月1日 神戸新聞出版センター

2008年9月1日:大阪府独立。國乃長1枚、呉春、浪花正宗追加。2008年9月19日:大御所、白牡丹追加。2009年12月5日:新泉、菊養老追加。2011年4月15日:元朝追加。2022年8月24日:画像差し替え、拡大画像追加あり。

(2022年10月15日更新)