路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
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超芸術トマソン そして路上観察


超芸術トマソンとは

超芸術トマソンとは、赤瀬川原平さんにより、
「不動産に付着していて美しく保存されている無用の長物」
と定義されています。

1972年、赤瀬川さんたちは、単に登っておりるだけの奇妙な階段を、そしてふさがれた窓口と門を発見します。使われていない、単なるゴミと思われたそれらに補修の痕を発見した赤瀬川さんは驚きました。
芸術は意識的に作り上げるものです。それに対し、意図的でないにもかかわらず美しく保存されているこれらの物件は、芸術を超えたもの="超芸術"であるとされたのです。

その名は、かつて読売ジャイアンツに在籍していたゲーリー・トマソン選手に由来します。
トマソン選手は豪快にバットを振り回すものの、ボールに当てることはほとんどできなかったそうです。彼は、役に立たないにもかかわらず(極めて失礼)ジャイアンツに動態保存されていた、生きた超芸術だったのです。

★吉野忍さんのトマソン・リンクトマソン・トーキョーが詳しいです。

★赤瀬川原平さんは2014年10月26日逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。

路上観察について

1986年、赤瀬川さん、藤森照信さん、南伸坊さん、林丈二さんらにより「路上観察学会」が結成されました。トマソン、古い洋館、ハリガミ、マンホールなど、それぞれの得意分野の観察で路上を流れていた方々が合流。さらにパワーアップされた視点で、日常からずれているモノたちを採集し始めました。

トマソン・ハンティングにしろ看板ウォッチングにしろ、ほとんど何の役にも立っていません。見つける行為もまたトマソン化しています。
しかし、役に立たないからこそ純粋におもしろがれるもの。何かのために、と思うと楽しさも半減するではありませんか。

自分はこれを見る、というテーマがあれば街歩きもより楽しくなります。お店のおしゃれな看板、凝ったガーデニング、穴あきブロックの観察、番犬の種類や屋根瓦etc……。
トマソン云々にこだわらず、自分流の歩き方で、毎日を少しでも楽しく過ごせたらいいですよね。

これから街歩き、特にトマソン・ハンティングを始められる方は、吉野忍さんのトマソン・リンクの“トマソン発見ガイド”、シンゴパパさんの路上観察入門を参照下さい。私も吉野さんの教えに従い、カメラを持つときは運転免許証を携帯しています。

参考文献(一部)

『路上觀察學入門』赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊編、筑摩書房1986
『超芸術トマソン』赤瀬川原平著、白夜書房1985
『京都おもしろウォッチング』赤瀬川原平・藤森照信他・路上観察学会編、新潮社とんぼの本1988
『路上探検隊 奥の細道をゆく』路上観察学会編、宝島社1991