横尾氏の元祖Y字路
横尾さんが一連の作品を生むきっかけとなった“元祖”Y字路。この掲示板や選挙看板の手前のスペースに、少年のころ横尾さんがよく通った「ホビイ模型」という、青い壁の模型屋さんがありました。小さく写っている水道関係の蓋あたりが、店と道との境界だったのではないかと思われますが、蓋から壁まで歩いても数歩で、とてもこのスペースに店があったとは思えないほど。
横尾さんご自身は「私物化していた想い出の場所はどこにでもあるただのY字路に変容してしまっていた」とおっしゃっています。
2009年1月 兵庫県西脇市
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掲示板と電線がなければこんな感じ。壁の白い波板が印象的です。年季の入った建物は、大きさにかかわらずそれなりの強さが出てくるもので、それは、建物の不動産的価値が下がっていくのとは逆のように思われます。
割れたモルタルとか、剥がれかけたペンキや漆喰の壁は、風雪を耐えてきた強さとけなげさを感じます。リフォームするといくぶん弱くなるでしょうか。ということは、廃墟は最強の部類に入ると思われ、ファンがいるのも頷ける話ですね。
画家の横尾忠則さんがY字路をテーマに創作を続けておられます。画集もありますが、ほぼ日刊イトイ新聞のサイトにタモリさん、糸井重里さんとの対談集と、作品集が掲載されています。