路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
お散歩 Photo Album

 
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殺虫剤1 金鳥

ペアで張られているものをセットにしています。

金鳥かとりせんこう 金鳥かとりせんこう キンチョール

ヨクキク 金鳥 かとりせんこう
撮影:2003年2月
ヨクキク 金鳥 かとりせんこう(煙4本で文字のバックの白が少ない)
撮影:2001年9月 拡大画像(74KB)

ヨクキク 強力殺虫液 キンチョール
撮影:2001年9月 拡大画像(81KB)

大阪府大阪市西区土佐堀一丁目4番11号、大日本除虫菊(株)

金鳥かとりせんこう(本名「金鳥の渦巻」)は明治23年(1890年)棒状のものが、明治35年(1902年)渦巻型が発売されています。殺虫液キンチョールは、昭和9年(1934年)4月発売。エアゾールタイプは昭和27年(1952年)の発売です。

かとりせんこうの看板は全国的には煙3本バージョンが多く、4本のは関西でしか見かけないとか。確かに姫路近辺では文字あり煙なしバージョンは見かけません。

金鳥かとりせんこう キンチョール キンチョール

ヨクキク 金鳥(煙3本、一番多いと思われるのがこれ)
撮影:2002年9月

ヨクキク 強力殺虫液 キンチョール
撮影:2002年9月 拡大画像(47KB)

ヨクキク 強力殺虫液 キンチョール
撮影:2004年2月 拡大画像(70KB)

右下の「キンチョール」は、下のようにハエがずんぐりしています。煙も太いような。あと、ロゴは、たわみキンチョールロゴの一部が大きくなっています。文字が水色なのは色褪せでしょうか?

金鳥&キンチョール

ヨクキク 家庭用殺虫剤 キンチョール
ヨクキク 金鳥(煙3本)
撮影:2002年9月

「家庭用殺虫剤」というのが上の2つと違います。また、ハエの描き方が少しずつおおざっぱになってる気がします。 かとりせんこうの煙の出方も少し違う。

れとろ看板写真館さんにも掲載されています。「金鳥」「キンチョール」の赤文字部分は琺瑯ではないとのことですが、これも同様でしょう。このようにずらして3、4枚張り付けられているのを5カ所で確認。

@金鳥の謎 日本の謎
キンチョールの看板ですが、上から順に古いのではと思うのですが。
製品は「強力殺虫液 キンチョール」→「強力殺虫剤 キンチョール(ンが小さい)」→「家庭用殺虫剤 キンチョール(ンが小さい)」となっていますので、製品に準じているのではないかと。ただし、菱形の「強力殺虫剤」はなさそうなので、「強力殺虫液 キンチョール(ンが小さい)」が昭和40年代後半でも出回っていたのかもしれません。数が多そうですし。
看板の立地条件を見てみますと、上のものは、明治期に建てられたような町屋に張り付けられている例があり、古くから開けている地域に見られます。下は新道沿いで見られました。 鉄道に関しては、上は山陽本線のような幹線沿い、真ん中はローカル線沿い。下は鉄道看板というより道路用ではないかと思います。

下の看板ですが、ストロボを当てると、塗料のよく残っている部分が反射しました。
金鳥&キンチョール
そのうち読めなくなるのに、なぜわざわざ文字部分をペイントにするのか不思議だったのですが、こういうしくみがあったわけですか。車のライトに照らされることを狙ったということですね。そういえばこの看板が道路に平行に取り付けられてるのはまだ見てないです。

キンチョール 金鳥かとりせんこう

ハエとるならばキンチョール <金鳥>強力殺虫剤 キンチョール
撮影:2002年2月

金鳥かとりせんこう
撮影:2002年2月 拡大画像(80KB)

フランジタイプで、2枚の看板は裏表になっています。販売店用の看板でしょう。「とるならば」というのが妙に文語調でおもしろいですね。このハエは「シュコロちゃん」と言うそうです。

美空ひばりさんは昭和42年(1967年)~48年(1973年)までかとりせんこうのCMに登場しました。この看板は昭和47年(1972年)のものでしょうか。

キンチョール&金鳥かとりせんこう

ハエとるならばキンチョール <金鳥>強力殺虫剤 キンチョール
金鳥かとりせんこう
撮影:2003年2月 拡大画像(77KB)

こちらは張り付けタイプ。某所でひばりさんの看板が溝蓋になってました。もったいない。

キンチョール キンチョール

東大阪市 立花町 ハエや蚊に キンチョール
撮影:2009年1月

@新聞広告に見るキンチョール

朝日新聞の縮刷版(東京本社版)の各年6月を中心に広告を拾ってみました。

  • 昭和37年(1962年):「コロリ一発! キンチョール」
  • 昭和39年('64):「強力殺虫液 キンチョール 大量生産で安くなった」
  • 昭和41年('66):広告に桜井センリさん登場
  • 昭和42年('67):「強力殺虫液 キンチョール」
  • 昭和43年('68):「強力殺虫剤 キンチョール」(この年以降"ン"が小さい)
  • 昭和45年('70):<金鳥>強力殺虫剤 キンチョール「1コロ 2コロ 3コロ シュコロ」。商品パッケージは、現在のように細長い▲をデザインしたものに変更された
  • 昭和46年('71):「どうしてこんなにハエが落ちる」≪金鳥≫強力殺虫剤 キンチョール
  • 昭和47年('72):「ハエとるならばキンチョール」<金鳥>強力殺虫剤 キンチョール
  • 昭和48年('73):「金鳥の強力殺虫剤 キンチョール」。看板にもある虫キャラ“カー子とムサシちゃん”登場
  • 昭和50年('75):「家庭用殺虫剤 キンチョール」。小川真由美さん登場

@金鳥CMピックアップ

  • 昭和42年('67):かとりせんこうCMに美空ひばりさん登場(昭和48年まで)「金鳥の夏、日本の夏」
  • 昭和43年('68):「シュコロキンチョール」桜井センリさん
  • 昭和46年('71):桜井センリさんのCMソング「どうしてこんなにハエが落ちる……キンチョールのせいだよおら知っちょーる」
  • 昭和53年('78):かとりせんこうCMに小柳ルミ子さん登場(昭和62年まで)
  • 昭和55年('80):金鳥蚊とりマットCMに掛布雅之さん(昭和61年まで)「蚊のカッチャン」
  • 昭和56年('81):「ハエハエカカカキンチョール」郷ひろみさん、柄本明さん
  • 昭和58年('83):どんと「チャップイ、チャップイ」西川のりおさん、桂文珍さん
  • 昭和59年('84):ゴン「におわないのが新しい」木野花さん、もたいまさこさん
  • 昭和60年('85):「ムシムシコロコロキンチョール」郷ひろみさん
  • 昭和61年('86):ゴン「亭主元気で留守がいい」木野花さん、もたいまさこさん
  • 平成3年('91):キンチョウリキッド、タヌキがスクーターに乗って「30日30日いっぽんぽーん」近藤正臣さん
  • 平成4年('92):ゴン「アンビリーバブル」松田聖子さん
  • 平成9年('97):キンチョウリキッド、山瀬まみさんのカッパ登場
  • 平成12年('00):ゴンゴン人形用新発売「くっさー、これ、誰の足よ」沢口靖子さん。キンチョウリキッド「アブラとチャウチャウ、カブラとチャウチャウ」山瀬まみさん
  • 平成15年('03):「つまらん! お前の話はつまらん!」大滝秀治さん、岸部一徳さん

屋形船に乗ったひばりさんのCMは博報堂制作。他のお笑い系は大阪の電通によるものらしいです。平成15年以降も毎年毎年、夏になると変なCMが害虫と共に発生しています。

参考文献

  • 『資料が語る 近代日本広告史』大伏肇著 平成2年10月10日 東京堂出版
  • 『業界50年の歩み』1998年(平成10年)7月20日 (株)石鹸新報社
  • 『蚊遣り豚の謎』町田忍著 平成13年6月30日 新潮社(香取線香に関してこの著書が大変参考になりました)

2004年5月10日:キンチョール亜種追加。2009年7月2日:キンチョール町名標示追加。

(2022年8月26日更新)