酒3 兵庫県
灘五郷と姫路市以外の地酒
清酒 白雪 灘 小西醸 撮影:2001年10月
(高)級清酒 白雪 灘 小西醸 撮影:2002年2月
兵庫県伊丹市東有岡二丁目13番地、小西酒造(株)
天文19年(1550年)濁酒を始め、慶長17年(1612年)には本格的に清酒を始めました。「白雪」の銘は、寛永12年(1635年)、2代目当主が江戸に酒樽を運ぶ途中、雪をいただく富士山を見て名づけたもの。現存する最古の銘柄とのこと。西宮市今津港町1-18にあった西宮工場は廃止し、生産は伊丹に集約しました。
西宮工場前にあった「白雪酒造前」交差点標示。2005年2月撮影。
清酒 白雪 小西醸(ベンチ広告)
撮影:2019年2月
◆伊丹の酒◆
羽柴秀吉との合戦で敗れた山中鹿之介の長男・新六幸元は、伊丹の鴻池村に住み着き、酒造を始めました。当時酒と言えば濁酒でしたが、慶長5年(1600年)頃清酒の醸造に成功したといわれ、江戸に運び多くの富を築き、後の鴻池家の祖となりました。
将軍の御前酒にもなり、一世を風靡した伊丹酒ですが、天保年間(1840年頃)宮水が発見されてからは、灘酒におされ徐々に衰退しました。
清酒 盛典 岡田本家醸
撮影:2018年6月
兵庫県加古川市野口町良野1021、合名会社岡田本家
明治7年(1874年)創業。「盛典」は明治の御大典より。これは小さめの吊り下げ看板です。
高級清酒 富久錦 株式會社稲岡本家吟醸
撮影:2001年11月
拡大画像(33KB)
兵庫県加西市三口町1048、富久錦(株)(旧(株)稲岡本家)
天保10年(1839年)創業。「錦」の名は、一乗寺(加西市)の紅葉の美しさにちなんで名づけられたものです。地元産の酒米を使用した純米酒のみを醸造されています。平成13年(2001年)11月、飲食もできる多目的ホール「ふく蔵」オープン。
清酒の看板らしい、力強い書体ですね。
現在の富久錦のトレードマークは、「ふ」をデザインしたものになっています。単独だとお酒というより和菓子のようなイメージですが、ラベルとなって瓶に貼られた時に違和感はありません。地元のGRAPH社(北川一成氏)が手がけられたようです。
平成19年(2007年)6月18日、民事再生手続き申請、再建中。
特醸清酒 成金娘 岩本吟醸
撮影:2011年3月 拡大画像(73KB)
清酒 成金娘
撮影:2002年6月
兵庫県加西市尾崎町349-4、岩本酒造(株)
岩本酒造は明治41年(1908年)創業。しかし現在は廃業されているようです。
銘が「成金娘」。なかなかの名前ですね。清酒にはめでたく上品な名前を付けるべし。まあ、灘酒には「いろ娘」などという結構な銘柄もあったようですが。
大正時代の成金ブームにより名づけられたとのことです。
下は合成樹脂製行灯看板。他では見たことがありません。小判型のおもしろい看板です。
高級清酒 旭龍 松尾酒造有限會社醸
撮影:2001年10月 少し拡大(23KB)
バス停の木製看板(97KB)
兵庫県揖保郡太子町松尾422、松尾酒造(有)
慶応元年(1865年)創業。報道によると、昭和54年(1979年)に生産を休止していましたが、平成23年(2011年)、「旭龍」の醸造を再開とのこと。
優等清酒 寫楽(写楽)難波酒造醸
撮影:2002年5月
兵庫県神崎郡神河町中村161にあった難波酒造(有)の看板。難波酒造は慶応年間の創業の老舗。酒販売店を経て令和2年(2020年)レストランなどの施設がオープン。
「寫楽(しゃらく)」は、浮世絵師東洲斎写楽より名づけられました。
清酒 山陽盃(さんようはい)西灘 壺阪醸
撮影:2001年12月
兵庫県宍粟市山崎町山崎28、山陽盃酒造(株)
山陽盃酒造(壺阪家)は創業天保8年(1837年)。「山陽盃」は、酒をこよなく愛した頼山陽にちなむとか。
高級清酒 三笑(さんしょう)本家門前屋醸
撮影:2001年12月 少し拡大(22KB)
兵庫県宍粟市山崎町山崎50、本家門前屋
明和5年(1768年)門前屋善太夫が創業。現在は酒販売とカフェをされています。
清酒 老松(おいまつ)北門酒造吟醸
撮影:2001年12月
兵庫県宍粟市山崎町山崎12、老松酒造(有)
創業明和5年(1768年)。こちらも門前屋善太夫の子孫に当たります。北門(きたもん)酒造から老松酒造に改称したのは昭和20年代。お店の屋号が「北門屋」だったらしいです。
清酒 小鼓 兵庫 西山酒造
撮影:2008年5月 拡大画像(45KB)
兵庫県丹波市市島町中竹田1171、(株)西山酒造場
嘉永2年(1849年)創業。酒銘は大正3年(1914年)、当時の蔵元と親交のあった俳人の高浜虚子が、「ここに美酒あり 名づけて小鼓といふ」と名づけたもの。
清酒 長春秋 但馬酒造醸
撮影:2003年3月
兵庫県豊岡市千代田町6-33、但馬酒造(有)
創業は明治。昭和20年(1945年)12月、豊岡市内の酒蔵7軒が合同で但馬酒造設立。
蔵の敷地には、平成26年(2014年)2月、豊岡グリーンホテルモーリスがオープン。住所は千代田町6-32。但馬酒造は千代田町6-30の豊岡酒倉(有)になっているようで、長春秋は他の銘柄と共に豊岡酒倉が販売しています。
「長春秋(ちょうしゅんじゅう)」の銘は、この酒を飲む人の長寿と繁栄を願って名付けられました。中国の漢詩に由来するそうです。
清酒 竹泉 田治米醸
撮影:2004年4月 拡大画像(27KB)
清酒 竹泉
撮影:2004年4月
兵庫県朝来市山東町矢名瀬町545、田治米合名会社
元禄15年(1702年)創業。蔵元近くの「竹の川」の水を仕込みに使い、また、蔵元の祖先が和泉の国から移住してきたことより命名されました。
参考:蔵元の金属看板
特醸 福乃太(フクノフトリ)北井本家
撮影:2002年5月
兵庫県三木市府内町2番21号、福太醸造(株)
元禄元年(1688年)創業、昭和25年(1950年)設立。現在は醸造はしていないか?
清酒 宮の井 下村醸
撮影:2002年6月
兵庫県姫路市安富町安志957、下村酒造店
初代下村九朗兵衛により明治17年(1884年)に創業。
参考文献
- 『日本の名酒事典』1990年4月26日 講談社
- 『山崎町史』昭和52年4月30日 山崎町
- 『豊岡市史』下巻 昭和62年3月1日 豊岡市
- 『兵庫県工場名鑑 昭和62・63年版/平成4・5年版』兵庫県商工会議所連合会
(岩本酒造、松尾酒造、難波酒造、高徳銘醸、福太醸造、友田酒造の創業年は工場名鑑を参考にしました) - 「32年ぶりに酒造再開 兵庫・松尾酒造 同業者の支援受け」の記事。2011年3月2日 日本経済新聞朝刊(近畿経済・兵庫)より
2004年8月8日:高徳、長春秋、竹泉2枚追加。2008年8月15日:小鼓追加。2011年3月4日:コメント追加。2018年6月25日:盛典追加。2022年8月24日:白雪ベンチ追加、画像差し替え、拡大画像追加あり。