路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
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NHK

放送の歴史に関する記述は、NHKサイトの「沿革」と、日本ラジオ博物館さんの「放送受信章の変遷」を参考にさせていただきました。「第1展示室:戦前のラジオ」と「第3展示室:ラジオの戦後史」にリンクがあります。


黎明期、3放送局時代

JOBK聴取章

JOBK 聽取章(聴取章)大阪放送局
撮影:2022年5月 奈良県

ラジオ放送が始まった大正14年(1925年)から翌年までのもの。放送局は東京・大阪・名古屋しかなく、それぞれが別の社団法人で、(社)大阪放送局は6月放送開始。

「JOBK」は当時より使われている大阪放送局のコールサイン。以前同局が大阪市中央区馬場町にあったときは「ジャパン・オオサカ・馬場町(ばんばちょう)・角(かど)」の略であると言われていました。

平成13年(2001年)11月に局舎が隣の大手前四丁目に移転してからは、「ジャパン・オオサカ・ばんばちょうの・きんじょ」の略であると一部で言われているそうです。まあ実際は、東京局のコールサインがJOAK、名古屋がJOCKであることを考えると単なる順番なのでしょうが、大阪の方はこういう話が好きそうで。

名古屋放送局

名古屋放送局(右横書き)
撮影:2018年10月 三重県
JOBKより少し大きい琺瑯製です。「放」の周囲は「名」ですね。

かつてラジオ放送は、契約しなければ聞くことができませんでした。申し込み時と毎月の利用料が必要で、もちろんラジオそのものも高価。聴取章の貼ってあるお宅は文化的でお金持ちだったのでしょう。なおラジオの聴取料制度は、昭和43年(1968年)4月に廃止されています。

日本放送協会設立、支部制導入

JOCK

JOCK
撮影:2019年5月 三重県
琺瑯製で上部のデザインは上の名古屋放送局と同じですが、名古屋放送局よりは小さいです。おそらく「名放」マークが同じくらいの大きさなのでしょう。

JOBK聴取章(アルミ) JOBK聴取章(アルミ)

JOBK 聽取章
撮影:2006年4月 奈良県 / 2018年12月 兵庫県

大正15年(1926年)8月20日、東京・大阪・名古屋の3放送局が合併、日本放送協会設立。全国3支部、のちに7支部制になりました。大阪は関西支部で、これら2枚のプレートは関西支部期間内のもの。材質はアルミになりました。

聽取者標章 廣島放送局(アルミ)

聽取者標章 廣島放送局
撮影:2019年5月 岡山県

上のJOBK聴取章にあたるものがこのプレートでしょう。文字は手書きふうでワイルド。年代も関西支部と同じでしょうか。

ラヂオ聴取章(アルミ)

ラヂオ 聽取章 日本放送協會 関西支部
撮影:2019年5月 奈良県
画像は少し大きくしましたが、プレートそのものは、他のものに比べて大きいわけではありません。ようやくどうにか読めるプレートが姫路にも数枚、関西各地、四国にもあります。

古群洞さんのブログによると、上のJOBK聴取章は、大正15年(1926年)8月20日より昭和6年(1931年)5月まで。この聴取章はそれ以降、支部制が廃止される昭和9年(1934年)5月16日までのもの。

ラヂオ聽取章 中國支部(アルミ) ラヂオ聽取章 中國支部(アルミ)

ラヂオ 聽取章 日本放送協會 中國支部(右横書き) 
撮影:2019年5月 岡山県

関西支部のラヂオ聴取章にあたるものがこれでしょう。こちらは右横書きです。

日本放送協會 東海支部(アルミ)

日本放送協會 東海支部
撮影:2018年10月 三重県

東海支部版。デザインは琺瑯版と同じ。こちらも読みやすいように画像を大きくしましたが、琺瑯の「名古屋放送局」より小さいものです。

支部制廃止

ラヂオ聽取章 日本放送協會(アルミ)

ラヂオ聽取章 日本放送協會 東京(右横書き) 
撮影:2019年4月 兵庫県

支部制が廃止された昭和9年(1934年)5月16日以降、逓信省が許可章を発行するようになった昭和15年(1940年)ごろまでのデザインです。プレート自体は本物のようですが、なぜ東京なのでしょう。引っ越す前の許可章をそのまま使ってるとか?

「イ」は地域の割り振りではなく、桁を増やすためのもので、イの1版からおそらく999999まで。次はロの1から……というように番号が振ってあったようです。

ラヂオ聽取章 日本放送協會(アルミ)

ラヂオ聽取章 日本放送協會 廣島(右横書き) 
撮影:2019年5月 岡山県

こちらは広島放送局。同じデザインで、かなり傷んでいるものが三重県などにもありました。広島の方は加入者が東京ほど多くないので、許可番号も数字のみ。

逓信省管轄時代

逓信省 放送聽取許可章(アルミ)

逓信省 放送聽取許可章(右横書き)
撮影:2006年2月 兵庫県姫路市

相当傷んでいますが、なかなかこのプレートを貼っているお宅が見当たらないため掲載。昭和15年(1940年)~17年(1942年)ごろのものでしょう。

戦後、NHKへ

(紙)

NHK 昭和22年度
撮影:2019年4月 兵庫県

戦後の紙製の聴取章。上段は「聽取章」と書かれているのだそうです。戦後70年以上経過し、壁に貼った紙が読める状態で残っているだけでもめずらしいのでしょう。

戦前の「日本放送協會」が、戦後より「NHK」表記になりました。

NHK 放送聽取章 NHK 放送聽取章

NHK 放送聽取章
撮影:2019年3月 三重県 / 2018年10月 三重県

戦後といえどもまだまだ文字が古めかしいアルミプレート。昭和25年(1950年)~29年(1954年)までのラジオの聴取章です。2枚目は線が太め。

NHK 放送受信章 NHK 放送受信章 NHK 放送受信章

NHK 放送受信章
撮影:2018年10月 兵庫県 / 2018年10月 奈良県 / 2013年10月 岡山県

上と同じデザインのプレート。昭和28年(1953年)以降のラジオの受信章です。この時代はラジオとテレビは別契約でした。

受や信の字が違いますが同じ種類です。よく見れば電波塔も微妙に違います。3枚目は先代と同じく釘穴が左右にあります。

NHK 放送受信章(赤)

NHK 放送受信章  
撮影:2022年10月 兵庫県

めずらしい赤版。

NHK TV(受信章)

NHK TV
撮影:2019年1月 兵庫県

こちらはテレビの受信章。テレビ放送の始まった昭和28年(1953年)より。
この後昭和38年(1963年)ごろより、受信章はシールになります。そのシールも現在は廃止になりました。

NHK(受信章)

NHK
撮影:2018年3月 和歌山県

年代不明の琺瑯プレート。ゴシック体のロゴも懐かしくなりました。

合成樹脂プレート、シール

NHK(受信章合成樹脂プレート)

NHK(受信章合成樹脂プレート)

NHK
撮影:2019年3月 兵庫県

NHK
撮影:2020年11月 兵庫県

年代不明の合成樹脂プレート。大阪府、兵庫県にあり。周囲が不透明のものが多いです。

NHK(受信章シール)

NHK
撮影:2018年6月 兵庫県

TV放送受信章シール(昭和38年(1963年)ごろ~昭和43年(1968年)まで)。
まだまだありますが、50年以上経過し、白っぽくなっているものや、貼り跡を残して剥がれているものも多いです。

NHK ラジオ(ラジオ受信章シール)

NHK ラジオ
撮影:2018年10月 三重県

ラジオ放送受信章シール(昭和38年(1963年)ごろ~昭和43年(1968年)まで)。
ラジオ専用の受信シールはめずらしく、読めるものはこれ1枚しか見ていません。色は紫のようですが、ほとんど残っていませんね。

NHK(カラー受信章シール)

NHK(カラー受信章シール)

NHK
撮影:2019年4月 / 2019年11月 兵庫県

カラーTV放送契約受信章シール(昭和43年(1968年)~平成20年(2008年)10月、昭和43年よりラジオは無料に)。
近年の新築以外はほぼ貼ってあるほど多いです。

NHK(BS受信章シール)

NHK
撮影:2019年5月 三重県

衛星放送契約用受信章シール(平成元年(1989年)~平成20年(2008年)10月)。
シールの中では最新ですが、多いかというとそれほどでもないようです。

2018年4月10日、6月25日:JOBK2枚追加。2018年11月3日:4枚追加。差し替えあり。2019年7月27日:NHK独立、逓信省以外の画像差し替え。5種類追加。2022年7月4日:琺瑯版3枚差し替え。2022年10月17日:放送受信章赤版追加。

(2022年10月24日更新)