路上観察と琺瑯看板、マンホールのふた
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13.命綱2号


余生を送っている塩の看板

このお宅では、かつて塩の他にたばこも取り扱っていて、今では白い板でふさがれた窓の奥で、おばあちゃんが通りを眺めながらたばこを売っていたのだろう。

塩もたばこも体にたくさん入れるのはよくない。だが、たばこは飲まなくても死なないが、塩分は不足すると最悪の場合死に至る。塩の看板が残されたのは人間の本能の表われではないのか。

この町は海沿いにある。何度か深呼吸すれば塩分もいくらかは摂れる気がする。でも、深呼吸しながらの食事はカロリーのムダ遣いになり、そういう自転車操業的食卓はあまり楽しくない。というわけで製品としての塩も売っている。

こちらではもう塩は買えない。おばあちゃんが元気かどうかもわからない。それでもこの小さな看板は、今日も、塩の重要性を人々に教えてくれてる。そしてこの家が生きているのは、塩分が足りているおかげではないかという気にさせられるのである。

撮影:2003年3月

(2005年3月20日作成)